オリジナルデータ均一度点検(様式9)って結局なに?
点群QCというと「コース間のズレ」ばかり見がちですが、同じ場所の点が落ち着いていない(バラついている)状態だと、ズレが小さくても成果としては弱い。
そこで出てくるのが、地理院公開の 様式9「オリジナルデータ均一度点検表」です。
この様式は、点群の局所(代表点の周辺)の点を並べて、標高(H)の散らばりを統計で確認するための箱です。
様式9の中身(何を書けと言ってるか)
様式9には、点の一覧として
- No. / X / Y / オリジナルデータの標高(H) / 備考
が用意されています。
さらに下段に統計欄として
- 点数 / 平均値 / 最大値 / 最小値 / 標準偏差
が用意されています。
要するにこの様式は、抽出した点群(複数点)のHを並べて、最後に統計を出すためのものです。
実務でのおすすめ運用
1) 「どこで」均一度を見る?
現場ではだいたい GCP(または検証点)周辺で見ます。
理由は単純で、座標が意味を持つ点だからです。
2) 抽出する点群は「最終成果の状態」で見る
ここが勘違いしやすいところ。
- コース別点群で片方だけ見ても、最終成果(統合点群)の品質評価にならない
- 成果として渡すのは通常「統合済みLAS」なので、統合済みの状態で点検するのが筋
…という考え方で、私は「マージした点群」を評価対象にします。
3) どう抽出する?(例)
以下は“例”です。現場条件で調整してください。
- GCP中心から 直径 r = 0.5m で点を抽出(点数が取れる範囲)
- 地表の均一度を見るなら Ground classのみ で抽出(未分類や植生を混ぜるとバラつきが増える)
- 斜面や段差が近い場所は、半径が大きいと地形勾配を拾ってレンジが増えるので注意
記入のイメージ(様式9を作業に落とす)
GCPが10点あるなら、私は 「GCP 1点=様式9 1枚」で運用します。
(様式上も「箇所番号」があるので、1箇所=1枚が説明しやすい)
1枚の中では、
- 抽出できた点群を上から No / X / Y / H に並べる
- 下段に 点数、平均、最大、最小、標準偏差を記入
この作業の意味はこうです:
- 標準偏差(σ):局所的に点がどれだけ落ち着いているか
- 最大−最小(レンジ):外れ値や誤分類が混ざっていないか
- 点数:抽出条件(半径・class)が適切か(少なすぎると判断材料にならない)
ここで引っかかったら、次に進まない
この均一度点検は、いわば「先に進めない系」のQCです。
ここでバラつきが大きい状態で、
- 調整点・検証点の精度評価
- コース間QCの帳票
に進んでも、根っこ(点群そのもの)が荒れているので説明が苦しくなる。
だから私はこの様式9を、
帳票のためじゃなく、成果LASを渡してよいかの事前審査として使います。
よくある落とし穴
- 統合前(コース別)で点検してしまう
→ 成果の品質にならない(成果として渡す状態で見るのが筋) - 直径が大きすぎる
→ 地形勾配・段差を拾ってバラつきが増えたように見える - Groundで見るべきなのに未分類や植生を混ぜる
→ 標準偏差やレンジが跳ねる(目的に合わせてclassを明示)
まとめ
様式9の本質はシンプルで、
- GCP周辺の点群を抜く
- H(標高)の散らばりを、点数・平均・最大最小・標準偏差で見る
- 成果LASとして渡せるかの判断材料にする
という話です。

3D point cloud and mesh processing software
Open Source Project
CloudCompareでやる:様式9(均一度点検)の再現手順
「GCP中心の近傍点を抜いて、Z(標高H)の統計(平均・最大/最小・標準偏差)を出す」。
準備するもの
- 統合済み点群(LAS/LAZ)
- GCP座標(X,Y,Z)
- 10点なら10点分の座標が分かればOK
- ※CloudCompareは点を置いて周囲を抜く発想なので、最低限X,Yが分かれば運用可能
手順1:点群を読み込む
- CloudCompareを起動
- LAS/LAZをドラッグ&ドロップして読み込み
- 左のDBツリーに点群が載っていることを確認
手順2:GCP位置に「基準点(マーカー)」を置く
やり方は2通りあります。まず簡単な方。
A) 画面上で近い点をクリックしてマーカーを作る
- 点群を拡大してGCP付近に寄る
- Pick(点を拾う)系のツールでGCP付近の点を選ぶ
- その点を「基準」にして周囲を抽出する
※厳密にGCP座標に一致させたい場合はB。
B) GCP座標を点群(Point)として読み込む
- GCPのCSV/TXTを作り、CloudCompareで読み込む
- 列は
Name, X, Y, Z(ヘッダ有無どちらでも可)
- 列は
- 読み込み時に列マッピングでX/Y/Zを指定
- 読み込み後、GCP点(点群)がDBツリーに別オブジェクトとして出る
この方法だと、GCPを10点まとめて管理できます。
手順3:直径 r で近傍点を抽出(均一度点検の核)
目的:GCP中心から直径 r(例:0.5m)以内の点だけ抜く。
- まず「抽出対象の点群(統合LAS)」を選択
- 次に「基準(GCP点)」を使って近傍点を抽出する
(CloudCompareには“距離で選択”系の機能が複数あるので、やり方はいくつかあります)
実務的には、
- 距離(Distance)を計算して閾値で切る
- 球(Sphere)でクロップする
のどちらかでOK。
ポイント:直径を大きくしすぎると地形勾配を拾うので、まずは0.5m前後から。
点数が少なすぎたら少し広げる。
手順4:Z(標高)の統計を出す(様式9の下段)
抽出できた「GCP周り点群」を選択して、統計情報(Statistics)を表示します。
ここで見るのは:
- 点数 n
- Zの平均
- Zの最大/最小
- Zの標準偏差
これがそのまま様式9の下段(点数・平均値・最大値・最小値・標準偏差)に対応します。
手順5:根拠データとして保存
帳票の説得力を上げるなら、抽出点群を保存しておくのが強いです。
- GCPごとに抽出した点群を
GCP01_extract.lasのように保存 - あとで「なぜこの数字になったか」を再現できる
CloudCompareを使うメリット
- 抜く(抽出)
- 測る(統計)
- 根拠として残す(保存)
この3つが無料でできる。
つまりCloudCompareは「見るソフト」ではなく、QCの実務を回す道具です。
締め
様式9は、書類としては地味。でも、ここをやるとQCの地盤が固まる。
「コース間ズレが小さい」だけで安心せず、同じ場所の点が落ち着いているかを先に確認する。
私はこの順番が、いちばん説明がラクだと思っています。
この記事は現場の声で育てていきます。気づいた点や追加情報があれば、ぜひ教えてください。
お仕事のご相談、ご依頼も歓迎です。
有限会社アペオ技研 加藤
連絡先:kato.apeo@gmail.com



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