河川の深浅成果が安定しない理由 設定を決める判断軸(第1回)

MBES

河川のマルチビーム測量では、スワス角を理屈どおりに広げても成果が安定しないことがあります。
「なぜ閾値が必要になるのか」を、現場で起きる典型パターンに沿って整理してみます。


弊社のMBES運用。QinsyとQimeraを使っています

弊社のマルチビーム(MBES)計測では、QPS社のQinsyとQimeraを運用しています。
Qinsyは現場での計測・ログ取得を担当し、船の位置や姿勢、測深データを記録しながら計測を進めます。
一方のQimeraは、取得後の解析・補正・品質確認を担当します。音速や姿勢、航跡情報などを反映してデータを整え、Cross Checkなどでコース間の整合を数値で確認します。


(TA:航跡調整)とは何か。最後の仕上げとして使う位置合わせ

TA(Trajectory Adjustment)は、複数の航跡データを重ねたときに残る「コース間のズレ」を、点群同士の位置合わせで最小化する調整作業です。
Qimeraで物理補正を完了させた上で、それでも残る差を相対整合として詰める目的で、最後の仕上げとして使っています。


河川MBESが難しい理由。綺麗な平行基線にならない

大海原の計測なら、平行で綺麗な基線になりやすく、軌跡も素直です。
一方、河川や渓流は右往左往の航跡になり、交差や重複の条件も不揃いになります。
この条件の悪さが、コース間ズレの温床になります。


Qimeraで補正してもズレが残ることがある

前提として、Qimera側でやるべき補正はすべて行います。
プロファイラー、表面音速、True Heave、SBET等を入れて、可能な限り物理的に整える。
さらに、パッチテストで姿勢(取り付け誤差)も補正し、計測系としてのズレを潰します。
それでも河川等のような条件では、コース間ズレがわずかに残ることがあります。


TAはレーザ用。MBESは音波だから違う。への考え方

よく「TAはレーザ向け、MBESは音波だから別物」と言われます。
ただ現場で困っているのは観測原理ではなく、最終成果として点群や面が整合するかどうかです。
だから弊社では、Qimeraで物理補正を完了させた上で、最後にTAで相対整合する運用を取っています。


今回のテーマ。スワス角の実用閾値を数字で確立する

ただしTAで救済できる範囲にも限界があります。
だから取得条件として、そもそも「スワス角を何度まで使うのが妥当か」を決めたい。
本シリーズでは、Norbitのデータを使ってスワス角の実用閾値を検証します。


まとめ

河川MBESは航跡が複雑で、Qimeraで補正してもズレが残ることがある。
だからこそ、スワス角の運用を数字で決める価値がある。


次回予告

同一RAWから角度だけを変えて比較する。
スワス角60度から160度までのCross Checkで、実用閾値を探ります。

この記事は現場の声で育てていきます。気づいた点や追加情報があれば、ぜひ教えてください。
お仕事のご相談、ご依頼も歓迎です。

有限会社アペオ技研 加藤
連絡先:kato.apeo@gmail.com

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